花村社会保険労務士事務所
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労務問題Q&Aについて

 労務問題は、労働法は言うにおよばず、労使双方の人間関係が絡み合い、複雑多岐にわたっております。ここでは、プロファイリングの達人の花村俊広が、会員および顧問先の皆様からよく寄せられる労務問題に関するご質問の回答を掲載し、経営者のお役に立つことを目的としています。

 労働の現場で日頃抱えている疑問をお送りください。会員および顧問先の皆様からお寄せいただくものに限定して回答いたします。

 なお、会員および顧問先以外の方からお寄せいただいくご質問には、回答いたしかねますのでご了承ください。

 会員および顧問先の皆様は、以下の専用フォームへ自由にお書きください。では、あなたのご質問をお待ち申し上げております。

Q&A


Q1.36協定について教えてください。必ず届出をしなくてはいけませんか?
Q2.割増賃金から除外される賃金にはどのようなものがありますか?
Q3.解雇予告はどのようなタイミングで必要になりますか?
Q4.最低賃金とはどのようなものですか?
Q5.遅刻に基づく賃金カットは減給の制裁にあたりますか?
Q6.解雇予告期間中に業務上負傷して療養した場合の解雇予告の効力はどうなりますか?
Q7.休日と休暇はどう違うのですか?
Q8.振休と代休はどう違うのですか?
Q9.就業規則の作成手続にある「意見聴取」とはどのようなものですか?
Q10.使用者は、就業規則の内容を自由に決められるのでしょうか?
Q11.歩合給制の労働者に対して賃金の最低保障は必要ですか?
Q12.派遣労働者に関して就業規則の作成義務はどのようになりますか?
Q13.解雇予告期間中の労働関係はどうなりますか?
Q14.就業規則の本社一括届出とはどのようなものですか?
Q15.出向の場合、労働基準法はどのように適用されますか?
Q16.就業規則の法的性質とはどのようなものですか?
Q17.労働者の過半数を代表する者とはどういう人ですか?
Q18.計画年休とはどのようなものですか?
Q19.年次有給休暇の賃金は何に基づいて支払うのでしょうか?
Q20.企画業務型裁量労働制とはどのような制度ですか?
Q21.平均賃金とはどのようなものですか?
Q22.労働基準法に違反した労働契約は、どのように扱われるのですか?
Q23.労働者が使用者に借金がある場合、解雇予告手当で借金を相殺できますか?
Q24.解雇予告を申し渡した後に期日を延長し、そのまま働かせた後、解雇できますか?
Q25.無断欠勤が続いている労働者がいますが、解雇できますか?
Q26.パートタイマーにも年次有給休暇を与えなければいけませんか?

労務問題A1

Q 36協定について教えてください。必ず届出をしなくてはいけませんか?
A  36協定とは、時間外・休日労働協定のことです。労働基準法では、この法律に定める労働時間(1週40時間、1日8時間)を超える労働、あるいは、法定基準(毎週1回の休日)を満たし得なくなる休日における労働を禁止しています。そのまま禁止行為を行えば労働刑法ですから、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。処罰の対象は、事業主に限らず命令した人にも及びます。これら禁止されている労働ですが、わが国の勤労システムにおいて、例えば時間外労働をゼロにすることは不可能です。ご存知のとおり、時間外労働は、恒常的かつ広範に行われているところです。
 ご説明したとおり、原則、禁止の行為ですが、次の二つの要件を満たすことによって事業主は刑罰を受けなくて済みます。①労使協定を締結すること、②その協定を事業所管轄の労働基準監督署長に届け出ることの二つです。ただ単に、労使協定を締結するだけでは足りません。
 したがって、締結プラス届出で事業主は罰を受けないという法律効果が発生します。この要件を満たすことなく、時間外・休日労働をさせることは、無免許で公道を走ることと同じです。
 なお、労使協定とは、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その労働組合が無いときは労働者の過半数代表と交わす書面による協定のことです。この協定があったとしても時間外・休日労働をさせれば必ず割増賃金の支払い義務が事業主に発生します。
 また、この協定は、事業所ごとに提出が必要となります。労働基準法の事業とは、原則として場所的な観点で決められます。したがって、本社以外に複数の事業所がある場合には、それぞれに届出が必要となります。

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労務問題A2

Q 割増賃金から除外される賃金にはどのようなものがありますか?
A  割増賃金の計算の基礎から除外される賃金には、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金があります。
 このように法律で規定されていますので、使用者が勝手に決めても通用しませんし、仮に労働者との合意があったとしても除外賃金とはなり得ません。
 除外される賃金の中でも注意すべきは、家族手当と住宅手当でしょう。
 家族手当は、どのような名称であれ、扶養家族の有無・数によって算定される手当であれば割増賃金の計算の基礎から除外されます。したがって、扶養家族の数に関係なく一律に支給していれば家族手当という名称であっても割増賃金の算定基礎に算入しなければいけません。
 住宅手当も同様に実質的に判断されますが、たとえ名称だけ住宅手当であったとしても住宅形態ごとに一律に定額で支給されるものは通常の賃金と同様に割増賃金の計算の基礎とされます。例えば、賃貸住宅の居住者には3万円、持家の居住者には1万円といったように、住宅の形態ごとに一律に定額で支給するものについては通常の賃金と同様に扱います。したがって、家賃の費用に按分比例したかたちでないと除外賃金とはなりません。

労務問題A3

Q 解雇予告はどのようなタイミングで必要になりますか?
A  使用者が労働者を解雇しようとする場合において、少なくとも30日前に予告をしなければなりません。また、30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないことになっています。
 この予告日数は、平均賃金を1日分支払った日数だけ短縮することができます。したがって、予告するか、金を渡すか、あるいは、この合わせワザも認められます。例えば、20日分の平均賃金を支払って10日前に予告するような場合がこれに該当します。
 わが国の勤労システムにおいて、労働者が生活の糧とする収入は唯一、賃金です。解雇によって、その賃金を得る途を閉ざされるのですから、労働者にとっては経済的に大きなダメージを受けることになります。したがって、労働者が向こう30日間は食べていけるように時間的・経済的保護を使用者に課しています。
 支払時期などは注意が必要です。例えば、「明日から来なくていい」という場合は、30日分以上の平均賃金を解雇の申渡しと同時に支払わなければなりません。また、労働者が会社から借金をしている場合に貸した分だけ差し引きして支払うことは認められていません。予告手当は、労働基準法上、使用者に義務付けられた金であり、金銭消費貸借契約とは違う話です。
 使用者が、解雇予告の規定に違反して、予告期間をおかず、または予告手当の支払をしなかった場合には、即時解雇としては効力を生じないとされています。単に「クビだ」としか言われていないようなケースがこれにあたります。しかし、その場合でも使用者が、即時解雇に固執しないのであれば、30日を経過するか、または予告手当の支払いをした、いずれかのときから解雇の効力が生じることとなります。この場合であっても、即時解雇の意思表示から解雇の効力が生じるまでの間に労働者が休業した場合には、法26条の休業手当の支払義務が使用者に生じることになります。

労務問題A4

Q 最低賃金とはどのようなものですか?
A  労働条件の最低基準は労働基準法で定めますが、賃金の最低基準は最低賃金法で定めることになっています。
 最低賃金法でいう労働者は、労働基準法の労働者と同じです。労働者の雇用形態、例えば、正社員、パート、アルバイト等、名称に関係なく適用されるのを原則としています。従来、一般の労働者と労働能力が異なるため、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭める可能性のある人たちについては、都道府県労働局長の許可を受けることを条件に適用が除外されていました。しかし、平成20年7月施行の改正法では、このような人たちについても、最低賃金を適用したうえで、減額特例を許可することが労働者保護に資するとの観点から適用除外規定を廃止し、減額特例規定へ移行しています。減額特例対象者の区分と減額率が定められ、その中には、試みの試用期間中の者も入っています。ただし、減額特例対象者の中には、高齢者や年少者といった人たちが入っていませんので注意が必要です。
 最低賃金には、地域別最低賃金と産業別最低賃金の2種類があります。地域別最低賃金は都道府県単位で時間額のみで決められます。先の改正で、産業別最低賃金についても時間額に改められました。一人の労働者に2以上の最低賃金が競合する場合には、最低賃金額の高いほうが適用されます。なお、産業別最低賃金は、地域別最低賃金において定める最低賃金を上回る必要があります。改正法では、地域別最低賃金以上の賃金が支払われない場合の罰金の上限額が、「2万円以下」から「50万円以下」に引上げられています。
 また、最低賃金が対象としているのは、毎月支払われる賃金であって、通常の労働時間・労働日の賃金に限定されます。具体的には、所定内賃金である基本給と諸手当というイメージになるでしょう。ただし、諸手当のうち、皆勤手当、通勤手当、家族手当は最低賃金の対象となりません。他にも臨時に支払われる賃金、賞与、時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金等は、その対象から除外されます。したがって、これらを除いて最低賃金の基準をクリアしなければなりません。
 現状では、最低賃金を守れていない事業場があることも事実です。最低賃金を確認するには、実際の労働時間を把握する必要があります。実際の労働時間で賃金を割ってみてください。例えば、月給の人なら、(月給額×12か月)/年間総所定労働時間≧最低賃金額(時間額)となります。最低賃金が守れていない事業場では、労働時間をきちんと把握していない場合が多いです。労働時間は、労務管理に必要不可欠ですのでこの機会に把握するようにしてください。

労務問題A5

Q 遅刻に基づく賃金カットは減給の制裁にあたりますか?
A  労働者が、労働すれば賃金債権が発生します。この賃金債権からペナルティとしていくらか差し引くルールを設けることは違法ではありません。しかし、遅刻や早退をした場合は、その時間について労働を提供していませんから賃金債権は発生しません。引かれて当たり前です。したがって、その分の減給は、減給の制裁にあたりません。ただし、遅刻や早退の時間に対する賃金額を超えるような減給は制裁とみなされ、減給の制裁の制限の適用を受けることになります。
 例えば、「30分を超える遅刻は、1時間の遅刻とみなす」というように遅刻の時間を常に切り上げる旨の規定をしたとしましょう。1日8時間で8,000円をもらっている労働者が、35分の遅刻をした場合、労働時間は7時間25分で1時間分引かれて7,000円しかもらえないことになります。この場合の25分は減給の制裁にあたります。
 法91条では、減給の制裁に関する制限を規定しています。1回の事案についての減額は、平均賃金の1日分の半額以内でなければなりません。例えば、平均賃金8,000円の労働者に対しては4,000円を超える減額は認められないということになります。また、複数の事案についての減額は、一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはいけないと規定しています。ここでいう一賃金支払期とは、週休の人もいる訳ですから、1か月の所定内とは関係がありません。そして、実際に支払われる金額が基礎となります。例えば、1か月働いて10,000円の労働者の1回あたりの上限は1,000円です。したがって、減給すべきが2,000円ならば次月に繰り越されて減給が為されることになります。
 賃金は労働者にとって唯一、生活の糧となる重要な労働条件の一つですので、減額する行為については、このようにある程度歯止めを掛けて、労働者が著しい不利益を被らないように保護しています。

労務問題A6

Q 解雇予告期間中に業務上負傷して療養した場合の解雇予告の効力はどうなりますか?
A  使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に予告したところ、解雇予告期間終了前にその労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり、その療養のために休業をする場合には解雇制限の適用があります。
 解雇制限とは、労働能力を喪失していて、すぐには再就職活動ができない状況での解雇を制限するものです。法19条では、業務上の傷病による療養のために休業する期間とその後30日間は解雇してはならないとしています。ちなみにこの場合の療養とは、治った後の通院は含みません。
 例えば、解雇予告をした日から10日目に、業務上負傷し、療養のため6日間休業したような場合は、解雇制限期間中に当初の予告期間が満了するため、当初の解雇予告の効力自体は中止されます。では、もう一度、解雇予告が必要でしょうか?
 その休業期間が長期にわたって解雇予告としての効力を失うものと認められる場合を除いて、改めて解雇予告をする必要はありません。当初の解雇予告は有効で、その効力が停止されただけですので、解雇制限期間が終了した段階で法律上当然に解雇となります。

労務問題A7

Q 休日と休暇はどう違うのですか?
A  労働者として雇われる場合において労働契約を結ぶ訳ですが、1年(=365日)は労働日と休日のどちらかに該当することになります。
 労働日とは、労働契約上、就労して労務の提供が義務づけられている日をいいます。したがって、約束ですから、使用者が就労義務を免除しない限り休むことはできません。一方、休日とは、労働契約上、就労義務が最初から無い日をいい、労働基準法では法定休日を定めています。なお、使用者は、法定休日に労働させようとすれば、36協定の締結と届出、労働者に対して割増賃金の支払いを負うことになります。
 さて、休日と休暇ですが、概念を分けて押さえなければなりません。休日は、既に述べたように「就労義務が無い日」のことです。休暇は、労働契約上、就労義務が有る日に、労働者の請求によって就労義務を消滅させる行為をいいます。したがって、休日に休暇を取るという行為はできません。
 休暇の代表的なものには、年次有給休暇があります。これは、一定の継続勤務要件と出勤成績によって労働者に権利が発生し、労働者が時季を特定することによって、就労義務が消滅し、同時に賃金支払請求権を取得するというものです。
 休日、休暇と似通った言葉に「休業」があります。参考までに休業とは、労働契約上、就労義務があり、労務の提供をなし得る態勢にあって、かつ、その意思があったにもかかわらず、労働をなし得なかった場合のことをいいます。

労務問題A8

Q 振休と代休はどう違うのですか?
A  振休は、休日を労働日に、労働日を休日に予め変えてしまいます。代休は、休日に労働をさせた後、休日を与えることをいいます。つまり、振休は、休日労働にならず、労働日に働くこととなり、代休は休日労働が先にくることになります。「事前の振休」、「事後の代休」という概念は、分けて押さえる必要があります。
 振休は、休日が動きますので、労働条件の変更になりますから、就業規則に振替規定が必要となります。通常、業務上の必要性があれば、振替規定によって振休が行われているということになります。ただし、現実問題として同一週に振休は使えないでしょうから、40時間を超えてしまうという問題も発生します。また、賃金計算期間を飛ばすような振休は、法24条の全額払いに違反しますので、その運用にあたっては注意が必要です。
 一方、代休は休日労働をやってしまいますから、36協定が絡んできます。パターンは3つ考えられます。①法定休日労働なら3割5分以上の割増賃金の支払いが発生、②時間外労働として40時間を超えたなら2割5分以上の割増賃金の支払いが発生、③休暇、休日があって40時間以内に収まっていれば通常の賃金の支払いが発生、これがオーソドックスなパターンとなります。

労務問題A9

Q 就業規則の作成手続にある「意見聴取」とはどのようなものですか?
A  就業規則は、労働基準法で定めるところにより、労働者が常態として10人以上である使用者に対して作成・届出義務が生じます。このように、作成する権限と義務は、使用者にありますから、就業規則の内容について、使用者が一方的に定めることができるのです。
 就業規則は、労働協約や労働契約のように「契約」として結ぶものではありませんが、労働者は、このルールに拘束されることになります。要するに、労使が話し合った結果、合意したものが就業規則になる訳ではないのです。使用者が作ったルールに基づいて、労働者は指揮命令を受けて働くことになりますから、就業規則の作成・変更の過程において、法律で労働者側に発言権を認めたものが「労働者からの意見聴取義務」として規定されています。
 意見を聴くべき労働者とは、就業規則の作成・変更をする事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、無い場合は、労働者の過半数を代表する者になります。また、一部の労働者に適用される就業規則の場合は、どうでしょうか?雇用形態も様々ですから、同一の事業場であっても別々の就業規則を作成することは合理的です。例えば、パートタイマーだけに適用される就業規則がある場合であっても、先に述べた労働者の意見聴取が必要であって、その就業規則が適用されるパートタイマーの意見聴取義務はありません。
 この意見聴取は、文字どおり「意見を聴く」だけでよく、労働者が納得する、あるいは、労働者の同意を得なければならないものではありません。意見を聴いたことの証として、届出る際に添付書類として提出する必要があります。たとえば、その意見の内容が、「内容について反対である」といった否定的な意見が述べられていたとしても、就業規則の効力には全く影響がありません。したがって、労働者はそのルールに従わなければなりません。

労務問題A10

Q 使用者は、就業規則の内容を自由に決められるのでしょうか?
A  就業規則を作成する権限と義務は、使用者側にあります。したがって、就業規則とは、使用者が一方的に定めるものであると言えます。しかし、就業規則に記載する内容は、マニュアルのごとく決まっています。大きく、2つのグループに分けられます。「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」です。
 絶対的必要記載事項とは、常に必ず記載しなければならない事項です。労働者が働くうえで、常につきまとう内容が、これに当たります。例えば、労働時間に関すること、賃金に関すること、退職に関することは、労働者の利害関係に大きく影響を及ぼすものです。労働者の権利義務に関することが、曖昧であったり、ズサンであったりするのはマズイですよね。
 相対的必要記載事項とは、社内の統一的なルールを設ける場合には記載する事項です。前述した絶対的必要記載事項よりも重要度や緊急度が劣る内容になります。例えば、すべての会社に退職金が用意されている訳ではありませんよね?毎月の賃金と違って、退職金はすべての使用者に支払義務が課せられているのではありません。そもそも退職金が無い会社もある訳です。その他、企業秩序定立のために懲戒処分を課す場合も、相対的必要記載事項として、あらかじめ懲戒の種類とその事由を定めておく必要があります。
 就業規則の必要記載事項と労働契約を結ぶときに明示すべき事項は、ほぼ共通しています。したがって、入社時に就業規則を提示する場合があります。しかし、個人的な内容については、就業規則の必要記載事項に含まれていませんので注意が必要です。例えば、労働契約の期間や、どの事業場で働くか、残業を命ぜられることの有無等といった、労働者個人にとって明らかにすべき情報です。就業規則は、職場の統一的、画一的ルールですから、そうでないものについては、別途書面により明示が義務づけられています。

労務問題A11

Q 歩合給制の労働者に対して賃金の最低保障は必要ですか?
A  通常のサラリーマンの場合は、基本給が決まっていますので、毎月安定した賃金が支払われることになります。これに対して、歩合給制の労働者は、どれだけ契約をとったか、あるいは、どれだけ物をつくったか、その出来高に応じて賃金が決まってきます。例えば、出来高払制の営業マンが、本人は頑張ったけれども1件の契約も取れず、その結果、その月の収入が0円、というように賃金が極端に低額になる場合、労働基準法27条で使用者に最低保障給を要求しています。
 ただし、当該労働者が、労働しない場合、使用者は保障給を支払う義務はありません。この「労働しない場合」とは、たとえ、その理由が災害や地震など不可抗力が原因であったとしても同様です。法27条では、あくまでも労働時間に応じた賃金を保障するように定めているのです。
 なお、この保障給の金額までは、労働基準法に定めはありません。しかし、通達では「常に通常の実収賃金とあまり隔たらない程度の保障がされるように保障給の額を定めるべき」とされ、休業手当が平均賃金の100分の60以上の支払を要求していることから、少なくとも平均賃金の100分の60程度を保障することが妥当であるという見解が示されています。

労務問題A12

Q 派遣労働者に関して就業規則の作成義務はどのようになりますか?
A  派遣労働者に関して、就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上使用している派遣元の使用者となります。
 労働者派遣法では、派遣先の使用者と労働者との間には、指揮命令関係のみ存在し、雇用関係はありません。すなわち、労働者は、派遣元の使用者との間で雇用関係を締結しているのです。なお、派遣先の使用者に指揮命令される根拠は、派遣元の使用者と派遣先の使用者との間で結ばれている労働者派遣契約の内容に基づいています。実際の労働の現場となる派遣先の使用者は、他人(派遣元)の労働力を使っているに過ぎません。
 このような場合、労働基準法上の使用者責任は、派遣元、派遣先のどちらにあるのかが問題となります。派遣労働者は、雇われているところと違うところへ派遣され、労働を提供するといった不安定な立場にあります。そこで、具体的に労働者の権利が守られない、あるいは、規則の実行性が確保できないといったことがないよう、規制をかける必要があります。原則としては、雇用関係が唯一派遣元の使用者との間にあるのですから、派遣元が使用者となります。就業規則の作成義務と同様、労働条件の明示義務、36協定の締結、フレックスタイム制の適用当事者、割増賃金の支払義務等は、派遣元の使用者にその責が生じます。一方、休憩時間の長さが妥当か、自由利用をさせているか、といった実際の現場に規制をかけないと労働者保護が図れないものについては、派遣先の使用者がその責を負うことになります。誤りやすいものの一つとして、非常事由による時間外・休日労働に係る労働基準監督署長の許可を得るのは、派遣先の使用者です。

労務問題A13

Q 解雇予告期間中の労働関係はどうなりますか?
A  解雇予告がなされたとしても、予告期間が満了するまでは、労働関係が有効に存続しますので、労働者は労働を提供しなくてはならず、使用者はこれに対して賃金を支払う義務があります。
 例えば、3月1日に3月31日(翌日起算で暦日30日)を最後に辞めてもらうと予告した場合、3月は2月以前と変わらず、労働者については、労働を提供する義務および賃金をもらう権利が生じ、使用者は、指揮命令をする権利および賃金の支払義務が生じることになります。
 このように労働者は、通常どおり仕事をするわけですが、使用者が「来るな!」と言えば、労働基準法26条の規定により、休業手当を支払わなければなりません。例えば、解雇予告と同時に休業を命じ、休業手当を支給した場合、予告期間の満了によって労働契約は終了することになります。

労務問題A14

Q 就業規則の本社一括届出とはどのようなものですか?
A  複数の事業場を有する企業等では、企業全体で統一的に適用される就業規則を定める場合があります。このような場合、各事業場の就業規則を本社管轄の労働基準監督署へ一括して届けることにより、企業の負担が軽減できることから、一定の要件を満たすことを条件に認められています。
 要件は、次のとおり。
1.複数の事業場を有する企業等が、当該企業等の複数の事業場において同一の就業規則を適用する場合であること
2.本社において一括して就業規則の作成等を行うこと
3.本社以外の事業場の所轄労働基準監督署長宛に届出る就業規則を本社の所轄労働基準監督署長に届出ること
4.本社を含む事業場数に対応した必要部数の就業規則を提出すること
5.本社で作成された就業規則と各事業場の就業規則が同一の内容であること(その旨が附記されていること)
6.法第90条第2項に定める意見書が各事業場ごとの就業規則に添付されていること
 また、事業場単位で締結し、届出る36協定についても、一定の要件のもとに本社一括の届出が認められています。

労務問題A15

Q 出向の場合、労働基準法はどのように適用されますか?
A  出向とは、出向元と何らかの労働関係を保ちつつ、出向先との間において新たな労働契約を交わし、相当期間継続的に勤務する形態をいいます。出向は、2種類あります。在籍型と移籍型です。
 在籍型の出向は、例えば、A社の従業員であり、その雇用関係を維持しながらB社というA社の子会社にも雇われている形態で、労働者派遣と違い、雇用関係が2つ存在します。移籍型の出向は、例えば、A社との雇用関係が完全に終了して、B社という子会社に使用される者として移籍する形態で、出向先にのみ労働関係が存在します。
 在籍型の出向は、出向元と出向先の双方とそれぞれ労働契約関係がありますから、それぞれの契約の幅の中で双方に労働基準法の適用があります。移籍型の出向は、出向先と出向労働者との間にのみ労働関係がありますから、出向先についてのみ労働基準法の適用があります。

労務問題A16

Q 就業規則の法的性質とはどのようなものですか?
A  使用者が労働者に対して、具体的な権利義務を負うのは、労働契約を締結するからに他なりません。さらに権利義務の内容は、労働契約締結時に明示されていることが必要です。
 就業規則は、使用者が一方的に定めるもので、労働者の同意を必要としません。労務管理上、各労働者の労働条件を画一的、統一的に規定しているものです。労働契約を締結する時に、就業規則を明示して、労働者の同意を得ることで、就業規則の規定を労働契約の内容としています。
 就業規則は、労働条件を画一的、統一的に処理することで企業秩序を維持する目的があります。このように、労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質があるというだけではなく、合理的な労働条件を定めているものであれば、法的規範性が認められ、労働契約の内容となる、というのが今日の判例が示すところです。
 したがって、法的規範性が認められる就業規則は、その存在や内容を労働者が現実に知っていると否とにかかわらず、また、個別的な同意を与えたかどうかも問わず、その労働者を拘束することになります。すなわち、就業規則の規定を知らない従業員だとしても、その適用を受けることになります。ただし、就業規則が、その法的規範性を認められ、拘束力を生ずるためには、その内容について、適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることが必要となります。

労務問題A17

Q 労働者の過半数を代表する者とはどういう人ですか?
A  例えば、36協定に代表される労使協定の締結当事者として、「労働者の過半数を代表する者」が登場します。代表する者となるためには、次の2つの要件を満たすことが必要になります。
 ①監督または管理の地位にある者(法第41条第2号)ではないこと
 ②労使協定の締結等を行う者を選出することを明らかにして実施される投票・挙手等の方法による手続により選出された者であること
 選出方法は、労使自治の尊重という考え方に基づき、ちゃんと話し合って、民主的に選ばれた者であれば良いわけで、投票しないと認められないということではありません。
 なお、労働者の過半数に含まれる労働者には、①の監督または管理の地位にある者も入りますので、ご注意ください。法第41条該当者は、労働時間、休憩および休日に関する規定の適用を除外されています。そのうち、第2号で規定しているのは、部下から見れば使用者、会社から見れば労働者といった中間管理職に相当するような人のことを指しています。この人たちは、「労働者の過半数を構成する労働者」にはなれても「労働者の過半数を代表する者」にはなれないのです。

労務問題A18

Q 計画年休とはどのようなものですか?
A  わが国の労働者の年次有給休暇取得率は50%前後で推移しています。同僚や上司、あるいは職場の雰囲気に気がねした結果、取得率が伸び悩んでいるのが現状です。このような中で、取得率を上げる手段として、職場で一斉に年次有給休暇を消化するようにすれば最も効果が期待できます。そこで、労使協定を締結することによって、計画的に年次有給休暇を消化する仕組みを「計画年休」といいます。
 計画年休を実施するには、労使協定により、年次有給休暇を与える時季に関する定めをすることになります。このように、労使協定を締結することによって、強制的に時季が指定されてしまうことになりますが、労働者が持っているすべての権利を指定されてしまうのでは、本来、労働者が権利を行使したい時季に使えないことになってしまいます。したがって、労働者個人が自由に利用して良い日数を確保しています。5日を労働者が自由に行使できるように残しておきます。5日を超える部分は、計画年休として使って良いことになります。例えば、付与日数が20日である労働者の場合、5日は自由に利用でき、残りの15日を計画年休の対象とすることができます。ちなみに、この労使協定は、所轄労働基準監督署への届出を要しません。
 計画年休を実施するうえで、新入社員のように、そもそも年次有給休暇が付与されていない労働者を含める場合は、労働基準法を上回るかたちで付与するか、休業手当を支払って一定の生活保障をする必要があります。
 また、労使合意による定めをしているわけですから、後から指定を変更することはできません。例えば、計画付与で年次有給休暇に指定された労働者を就労させる必要が生じた場合であったとしても、指定日を変更することはできません。

労務問題A19

Q 年次有給休暇の賃金は何に基づいて支払うのでしょうか?
A  年次有給休暇の賃金は、3つのパターンのうち1つを選択して支払うことが定められています。原則として、就業規則等で定めるところにより、①平均賃金、または②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う必要があります。また、③労使協定により健康保険の標準報酬日額に相当する金額を支払う旨、定めた場合は、これによります。標準報酬は、健康保険の保険料の計算をする際に使用するものです。ちなみに、この場合の労使協定は、所轄労働基準監督署への届出は必要ありません。
 年次有給休暇の賃金は、給与計算事務の簡素化を図るために認められたものですから、その都度、使用者の恣意的な選択を認めるものではありません。先の①または②の選択は、就業規則等によって予め定めることが求められます。このように、取扱いをルール化しなくてはなりません。また、③については、労使協定を締結したうえで、年次有給休暇の際の賃金として就業規則等に定めておかなければなりません。この選択がなされた場合には、必ずその選択された方法による賃金を支払わなければなりません。
 なお、未消化の年次有給休暇を行使する権利は、労働基準法上の2年間の時効に服するとされています。例えば、当該年度に消化されなかった年次有給休暇は、年度の終了によって消滅せず、翌年に繰り越されることになります。このことから、使用者は、2年を超えて年休権を保障する必要がないと言えます。
 さらに、事後、結果的に未消化となった分を使用者が買い上げることは合法です。ただし、年次有給休暇をまったく与えず、金銭で支払うといった買い上げ予約は禁止されています。

労務問題A20

Q 企画業務型裁量労働制とはどのような制度ですか?
A  平成12年の労働基準法改正により導入され、平成15年に適用事業場が拡大されるなど、この裁量労働制は規制緩和の方向で改正が行われてきました。新しく事業を立ち上げる、新しい店舗を出店するといった場合のマーケティングリサーチ、あるいは出店計画を考えるような人たちについて、どれだけ働いたとしても、労働時間の計算においてはみなし時間を適用する制度です。例えば、会議が長引いて、その日は13時間働いたとしても、労使委員会で決議された労働時間労働したものとみなされます。
 専門職とは違い、普通の企業の中にいる通常のサラリーマンのうち、企画立案等を行うベテランの人たちについて、あらゆる業種で導入できます。もちろん、企画立案等の業務ですから、素人や新人にはできませんよね。労使委員会の議決によって決議し、その決議を所轄労働基準監督署長へ届出なければなりません。36協定と同様、届出た段階で、はじめて効果が発生します。この決議には、有効期間を定めることが必要になります。さらに、労働者の「労働時間の状況」と「健康および福祉を確保するための措置の実施状況」を報告する義務が課せられております。ともすれば、長くなりがちな労働時間について、行政と使用者双方が協力して行っていく制度であるといえます。

労務問題A21

Q 平均賃金とはどのようなものですか?
A  普段支払われる賃金とは違い、通常の生活資金をベースに払う休業手当や解雇予告手当のように、一定の現金による支払いを法で義務付けている場合があります。平均賃金とは、その”ものさし”ともいえるものです。すなわち、労働者の客観的な1日分の収入の何割というような計算をします。原則的には、過去3か月間の総賃金を過去3か月間の総日数で除して、その人の平均的な1日当たりの賃金を求めることになります。ここでいう総日数3か月は、90日のことではありませんし、働いた日数とも違います。休日を含む暦日数のことを指しますので、注意が必要です。
 では、入社して2か月しか経っていない人は、どうするのでしょう?この場合は、2か月分の賃金で算定されることになります。
 なお、算定事由が発生した当日は、計算の基礎に含まれません。通常、何か事故があったとして、その当日には、労務の提供が完全にはなされず、賃金も全額支払われない場合が多いと考えられます。したがって、労働者への不利益防止のため、初日を算入しないこととしています。
 また、賃金締切日があれば、算定すべき事由が発生した直前の賃金締切日を起算点として計算を楽にすることができます。例えば、毎月20日で賃金を締め切って、25日に支給するという会社で、11月15日に算定すべき事由が発生した場合、直近の締切日は10月20日ですから、この日を起算点として計算することができるのです。やはり、日割計算は、面倒くさいですよね。
 この他、賃金が日給制、時間給制または出来高給制等の場合には、過去3か月間の総額をその期間中の実際に労働した日数で除して得た額に100分の60を乗じて得た額と、前述の原則的な算定式で得られた額のいずれか高い方をその人の平均賃金とすることになります。これは、労働の量で賃金が決まる人と、月給の人とのバランスが取れるように大小比較で高い方を支給するといった労働者保護が図られているからです。ちょうど、1か月30日のうち、18日ぐらいを目安にしていると考えることができますね。
 同様に、例えば、基本給が出来高給で、家族手当が月額固定給というような、月給と出来高給を併せてもらう人にも、算定式は若干異なりますが、最低保障額の適用があります。

労務問題A22

Q 労働基準法に違反した労働契約は、どのように扱われるのですか?
A  労働基準法は、労働条件の最低基準を定めるものです。そこで、強行法規としての実行性を確保するために、法第13条では、「最低基準に達しない労働契約について、その部分については無効にする」と規定し、契約自由の原則に修正を加えています。
 このことは、契約全部を無効とするのではなく、無効となった部分について、労働基準法の定める内容に変えてしまうことに他なりません。これは、労働契約全体を無効としたら、その労働者が働けなくなってしまうからです。例えば、ある労働者と週48時間の契約を結んだとすると、この週48時間の契約は無効となり、労働基準法の最低基準である週40時間に書き換えられることになります。仮に、労働者が、法に違反した契約に納得している場合であっても下回ることは認められません。このように強力な内容にして、労働者を保護しているわけです。すなわち、逆説的には、法を上回っていれば有効ということになります。
 法第13条の意味するところは、基準に達しないところだけを無効にし、定める基準まで引上げて、労働基準法の最低基準をクリアさせようとするものです。

労務問題A23

Q 労働者が使用者に借金がある場合、解雇予告手当で借金を相殺できますか?
A  解雇予告手当の支払は、解雇の手順を踏む場合、労働基準法第20条で使用者に支払が義務付けられているものです。したがって、解雇予告手当と金銭消費貸借契約とは別の話になります。解雇予告は、そもそも突然の解雇による労働者の経済的破綻や混乱を避けるために配慮したものです。たとえ労働者が、事業主から借金をしていたとしても、その借金を帳消しにするために支払われるのでは、解雇予告手当の意味がありません。このように、解雇予告手当は、借金とは別に取り扱うルールとなっています。(S24.1.8基収54)

労務問題A24

Q 解雇予告を申し渡した後に期日を延長し、そのまま働かせた後、解雇できますか?
A

 労働者に対し、30日前に解雇することを伝達していたとしても、解雇期日を延長してしまうケースがあります。当初の事情が変わり、忙しくなったので、解雇予告した労働者に働いてもらわなければ困ってしまうという場合が考えられます。この場合、いったん解雇予告満了日に働くことになってしまっており、解雇予告そのものが終わってしまっています。解雇予告期間満了後、労働者を引き続き使用すると、同一条件でさらに労働契約がなされたものとみなされるのです。したがって、当初の解雇は無効となり、改めて、もう一度、少なくとも30日前の解雇予告の手続が必要となります。(S24.6.18基発1926)
 また、使用者が行った解雇の意思表示を一方的に取消すことはできません。
 しかし、解雇予告をしたうえで、忙しくなり、事業主が、「もう少し、悪いけれども働いてくれないか」と労働者に伝えたとしましょう。この場合、労働者は、強制的に働かされるのではなく、自分の自由な判断によって、解雇予告の取消の意思表示について同意をすれば、取消すことができます。このように労働者に選択権があります。(S33.2.13基発90)
 一方、労働者が解雇の撤回に応じない場合には、自己退職ではなく、解雇予告満了時点で解雇が成立します。

労務問題A25

Q 無断欠勤が続いている労働者がいますが、解雇できますか?
A  労働者に対して、解雇予告をしなくても良い、すなわち即時解雇ができる場合として、労働基準法第20条第1項但し書で、「労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合」と定めています。例えば、業務上横領で、金の使い込みがバレたといった場合が、これに当たります。同様に、労働基準法第20条の保護を与える必要がない程度に重大または悪質なものとして、通達(S23.11.11基発1637、S31.3.1基発111)の中に、「原則として、2週間以上、正当な理由なく、無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」が挙げられています。ここでは、無断欠勤が継続しているという事実だけでなく、事業主として出勤の督促をする必要があることに注意してください。そのうえで、所轄労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受ければ即時解雇ができます。
 ただし、解雇予告除外認定は、法第19条の解雇制限が除外されないことに気をつけてください。例えば、育児休業中の労働者と産前産後休業中の労働者が、休業前に結託して会社の金を横領した場合、育児休業中の労働者に解雇制限の適用はありませんが、産前産後休業中の労働者には解雇制限の適用があります。したがって、産前産後休業中の労働者の横領が露見したとしても即時解雇できません。
 また、即時解雇の意思表示をした後に、解雇予告除外認定の申請をして認定を得る場合もあります。この場合は、認定に時間を要することから、解雇の効力は、即時解雇の意思表示をした日に遡って発生することになります。 
Q パートタイマーにも年次有給休暇を与えなければいけませんか?
A  パートタイマーのように、所定労働時間ないし日数が通常の労働者に比べて少ない労働者に対しては、通常の労働者とは異なる所定労働時間ないし日数に応じた年次有給休暇を付与することになっています。これを比例付与といいます。
 具体的には、所定労働日数が週4日ないし年216日を超える者、または週4日以下でも所定労働時間が週30時間以上の者は、通常の労働者と同じ日数となります。所定労働日数が週4日以下で、所定労働時間が週30時間未満の者、または年216日以下の者が比例付与の対象とされます。
 例えば、所定労働日数が週4日でも所定労働時間が1日8時間なら、通常の労働者と同じ日数が付与されます。また、所定労働日数が週5日で、夏休みが50日程度あって、1年間の所定労働日数が216日以下でも、同様に通常の労働者と同じ日数が付与されます。
 なお、比例付与の対象となるかどうかは、基準日において定められている所定労働日数によって決まるので、例えば、6か月継続勤務した日の翌日に所定労働日数が4日から5日に変更された場合でも、それに応じて年次有給休暇の付与日数が増減されることはありません。 

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